①「いざ行かむ 行きてまだ見ぬ山を見む このさびしさに 君は耐ふるや」 千葉県安房根本海岸への逃避行の後に、 人妻園田小枝子に宛てた手紙に書かれた恋歌である。 いくつかの解釈がなされているようだが、この歌を素直に読むと、 ところが、これに続けて牧水は「このさびしさに」と歌う。 牧水は前半の「さあ行こう。行ってまだ見たことのない山を見よう。」 この「さびしさ」は、近代短歌史上もっとも有名な歌のひとつである、 旅をせずにはいられないのだが、 その寂しさは終わることが無い。 牧水は小枝子に贈ったこの歌に、 ————————————————————————– 文責 工藤ゴウ Kudo Go 若山牧水コラム目次 |